独立就農
独立就農とは、自らが経営者として、農業経営を行います。
新規就農するために酪農ヘルパーや農作業ヘルパーとして経験を積んだり、
研修生として農業のいろはを学ぶケースが多いです。
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就農までの流れ
1. 各市町村の地域担い手センターやJAに相談
- 就農希望者への情報提供
- 就農相談セミナーの開催
- 新・農業人フェアなどでの面談
- 現地を訪問して見学(自治体やJAに相談)
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2. 農業体験で見極める
- 希望の市町村や実習作目(稲作、畑作、野菜、果実、酪農など)を決める
- 農村生活や農作業などを体験
- 就農を判断する
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3. 就農計画の作成と就農研修の開始
- 就農地、市町村が決まり、就農が確実となった段階で就農計画を市町村長に申請→認定就農者へ
- どんな作物を作るのか、営農に必要な技術取得
- 就農準備、作付け構成・資金の手当てなど
- 農業経営者として自立に向けた農家・法人などでの研修
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4. 営農
- 営農基盤の確保・整備
- 各種資金制度の活用
- JA、農業共済への加入
- 関係機関との連携
- 生産技術・経営技術の研鑽
- 農村社会への参加
- 就農(自営)
先輩たちより
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東京都出身:三原徹大さん
- JAオホーツク管内
エリア - 網走市
在住 - 3人(夫婦+アルバイト)
労働力 - ビート10㌶、小麦10㌶、馬鈴薯6㌶、大麦6㌶、小豆3㌶
経営規模 - 4,200万円
売上高 自分がどうなりたいかイメージすることが大事
東京都出身の三原さんは、大学生活を網走市で過ごしました。学生時代、農家でアルバイトを経験し、農業の楽しさを感じたそうです。札幌市で企業に就職後、インターネットで世襲ではない就農の道があることを知ります。そこで、学生時代にアルバイトをした農家に相談し、新規就農を目指しました。
当時、網走市で畑作の新規就農の実績はありませんでした。三原さんは「大変だがやってみようという気持ちになった」と振り返ります。網走市に移住し、相談をした農家 のもとで、2年間の研修を受けました。その期間中、離農した農家の土地や倉庫などを引き継ぎ、研修後に晴れて新規就農の道を歩み始めました。
移住後の生活については、近所の人が除雪をしてくれたり、自宅でのご飯に誘ってくれたりと、人の優しさに触れることが多いそうです。就農については「就農する土地、面積など、どうなりたいかを具体的にイメージしてください。地域の実情にあった経営が成功の鍵です」と話しました。
ある1日のスケジュール
5:00 起床 6:00〜12:00 午前の仕事 ビートの苗づくり 12:00〜13:00 昼休み 13:00〜17:00 午後の仕事 ビートの苗づくり 17:00 終業 22:00 就寝 -
幕別町出身:森本剛好さん
- JAオホーツクはまなす管内
エリア - 滝上町
在住 - 2人(夫婦)
労働力 - 経産牛30頭、育成牛11頭
経営規模 - 2,500万円
売上高 大規模ではない農業のかたち
幕別町出身の森本さん。大学を卒業後、大阪で就職をしましたが、27歳で北海道に戻りました。搾乳機メーカーで働くこと3年半。滝上町で酪農ヘルパーをしていた奥様と出会い、結婚しました。
30歳で作業服の販売会社に転職。ある時、作業服の販売イベントで聞いた言葉が、なぜか脳裏に焼き付けられました。「農家が随分少なくなったね」。「だったら俺が農家になってみようか」。奥様に就農の意志を打ち明けると、奥様はヘルパー時代の同僚に相談をします。話はとんとん拍子に進み、後継者を探している農家に出会い、滝上町に移住。2年間の研修で下地を作り、新規就農者となります。
夕方に搾乳があるのであまり遠出は出来ませんが、「買い物は通信販売があるので、特に困りません」と言います。「大規模の経営でなくても、生活は成り立ちます。会社員時代に比べると、早く帰れるので、家族との会話も増えました」。移住生活については「地域にあった“歩き方”をしていれば、みんなが受け入れてくれますよ」と笑いました。
ある1日のスケジュール
5:00 起床 5:15〜7:00 午前の仕事 搾乳、餌やり 10:00〜12:00 昼の仕事 餌やり 16:30〜19:00 午後の仕事 搾乳、餌やり 22:00 就寝
就農に関する支援制度
農業を始めるにあたって、また就農後に安定的な経営を行うため資金計画は重要です。
国の補助金やJAなどが貸し付ける各種融資制度を上手に活用しましょう。
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研修中の所得を確保したい!
準備型(研修期間中)
次世代を担う農業者となることを志向する者に対し、就農前の研修を後押しする資金を交付。
- 条件
- 北海道が認める道立農業大学校などの教育機関や先進農家・先進農業法人などで研修を受け、原則として50歳未満で就農する者。
- 金額・期間
- 年間150万円 最長2年
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経営を始めて間もない時期の所得を確保したい!
経営開始型(独立・自営就農直後)
次世代を担う農業者となることを志向する者に対し、就農直後の経営確立を支援。
- 条件
- 人・農地プランに位置付けられている原則50歳未満の認定新規就農者
- 金額・期間
- 年間150万円 最長5年
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ポイント
認定新規就農者とは?
認定新規就農者になると、独立して農業を始める際に必要な機械・設備への投資資金や所得確保支援などの支援策を優先して受けられるといったメリットがあります。
- 条件
- 新たに農業経営を営もうとする青年等であって、市町村から自らの農業経営の目標などを記した「青年等就農計画」の認定を受けた方のことです。
認定新規就農者になると受けられる支援策
- (1) 農業次世代人材投資資金(経営開始型)の交付
- (2) 青年等就農資金(無利子融資)の貸付け
- (3) 強い農業・担い手づくり総合支援交付金
- (4) 農業経営基盤強化準備金制度の利用
- (5) 経営所得安定対策(ゲタ対策・ナラシ対策)等
各種融資制度
就農時に機械・施設の導入などの資金を借りたいという方に向けての融資制度です。
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JA新規就農者応援資金とは?
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金融機関
JA
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ご利用いただける方
原則55歳未満で就農開始5年目までの個人 ※JAの組合員に限ります。
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資金用途
農業経営に必要な設備資金、運転資金(農業経営用施設・機械の取得・改良、造成など。肥料、農薬・飼料・各種負担金などの農業経営費など)
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貸付額
1,000万円以内
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貸付期間
12年以内(うち据置期間5年以内)
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金利
当JAの定める利率
※金利情勢により変動します
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北海道信連新規就農者資金
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金融機関
JA北海道信連
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ご利用いただける方
- 認定就農者で、自ら農業を始める方
- 認定就農者で、農業を始めてから通年で経営実績が3期未満の方
※JAの正組合員で、個人経営により新たに農業を始めた方
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資金用途
- 農業経営に必要な設備、長期運転資金
- 新築や改修などの住宅資金
(農地、施設、農機具などの取得農業経営費など。住宅購入費など)
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貸付額
5,000万円以内
※但し、運転資金は500万円以内、住宅資金は新築2,000万円以内(中古1,000万円以内) -
貸付期間
設備、住宅資金 25年以内
運転資金 10年以内 -
金利
JA北海道信連の定める利率
※金利情勢により変動します
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青年等就農資金
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金融機関
日本政策金融公庫
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ご利用いただける方
認定新規就農者
※市町村から青年等就農計画の認定を受けた個人・法人 -
資金用途
青年等就農計画に必要な資金
(施設・機械、果樹・家畜、借地料などの一括支払い。その他の経営費)
※農地の取得費用は別の資金が対象となります。
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貸付額
3,700万円以内(特認1億円以内)
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貸付期間
17年以内(うち据置期間5年以内)
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金利
無利子(借入全期間にわたり無利子)
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